2014年12月7日日曜日

見つめて、シェイクスピア!(練馬区立美術館)


西武池袋線の中村橋駅近くにある、練馬区立美術館。

これまで、個性的な展覧会を多数企画していることは知っていたが、残念ながら、訪れる機会には恵まれなかった。

このたび、シェイクスピアに関するこの展覧会のために、初めて、訪れることができた。

今年は、シェークスピアの生誕450年だが、国内での盛り上がりは、今ひとつの感じ。

本場のロンドンでも、大規模な回顧展が、ロンドンオリンピックに合わせて実施されてしまったために、今年は、それほど大きなイベントは行われてはいないという。

この練馬区立美術館の展覧会では、シェイクスピア作品を描いた版画作品と、昨年開催された、豪華な装丁本の受賞作品を展示していた。

版画作品では、ドラクロワのハムレット、シャセリオーのオセロなど、フランスのロマン主義の画家たちの作品が目を引く。

フランスでは、19世紀のロマン主義の時代に、シェークスピアの作品のロマン主義的な側面が注目され、大きなブームとなった。

シャガールによるテンペストの白黒の版画作品も面白かった。シャガール独特のイメージを使いながらも、シェークスピアの原作に忠実に、複雑なテンペストのストーリーが展開されている。

母国のイギリスでは、ロイヤル・アカデミーの初代会長、レイノルズによって、シェイクスピアの作品のハイライトシーンを集めた、シェイクスピア・ギャラリーという版画集が企画された。

そのシリーズの中では、レイノルズ自身が描いたマクベスも展示されていたが、幻想的な絵画を得意とした、ヘンリー・フューズリの真夏の夜の夢は、特に見応えがあった。

展示の後半は、昨年開催された、豪華なシェークスピア作品の装丁本のコンペティションを勝ち抜いた、82点の展示。

普段、本屋で目にする大量生産のシェクスピア本とは違い、文字通りの一点物。

シンプルなデザインもあれば、木材などを駆使して作ったもの、美しい色鮮やかなイメージをまとったものもあり、実にバラエティー豊かで楽しめた。

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