2014年12月6日土曜日
赤瀬川原平の芸術原論展(千葉市美術館)
赤瀬川の作品と、数多くの写真から、赤瀬川原平の1960年代から現在に渡る活動を概観した展覧会。
1960年代のネオ・ダダ、読売アンデパンダン、ハイレッドセンター、千円札裁判、フルクサスやオノ・ヨーコらとの交流。
1970年代になると、イラストやマンガを通じたパロディ・ジャーナリズム。
1980年代は、超芸術トマソンと路上観察会、芥川賞も受賞した作家としての活動。
1998年には、『老人力』がベストセラーになった。
赤瀬川の活動の流れは、そのまま、1960年代以降の現代アートの歴史を象徴している。
赤瀬川原平の芸術家としての作品には、全く何の興味も惹かれなかった。
それよりも、その多面的な活動自体が、何よりも興味深い。
赤瀬川原平という芸術家の場合、個別の作品によらない、その活動自体が、作品と言えるのだろう。
その意味では、赤瀬川原平は、もっとも現代らしい、芸術家ということができる。
赤瀬川の名前が世間一般に知られるきっかけとなった、千円札裁判。その裁判の中で、赤瀬川は、芸術とは何か、ということを徹底して考えることを強いられた。
それが、その後の赤瀬川の活動に、大きな影響を及ぼしている。
赤瀬川は、意外にも、生涯を通じて印象派の画家たちが好きだった。晩年に、そうした風景画を描くようになったが、現代芸術家がそうした絵を描くということを少し気恥ずかしく思い、武蔵野芸術大学の同窓会、という名目で描いた、というエピソードには笑ってしまった。
この展覧会を訪れる直前に、赤瀬川原平の永眠が、大きなニュースとなった。
この展覧会を見た後で、私たちは、もっとも偉大な芸術家の一人を失ってしまったのかもしれない、とも感じた。
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