2014年12月6日土曜日
ボストン美術館 ミレー展(三菱一号館美術館)
東京駅のすぐ近く、三菱一号館美術館で開催された展覧会。
展覧会の名前から、ほとんどがミレーの作品かと思いきや、コロー、テオドール・ルソー、トロワイヨンなど、バルビゾン派の作家の作品も、あわせて何点か展示されていた。
その中でも、ド・ラ・ペーニャの作品が、深く印象に残った。
ド・ラ・ペーニャといえば、それほど有名な画家ではない。バルビゾン派の展覧会に、何点か出展される程度の画家で、自分も、これまでは、それほど注目してはこなかった。
なぜか、この展覧会では、その作品の前から、なかなか立ち去ることができなかった。
森の奥地、フォンテーヌブロー近くの森を通る小道、森の小道、という3つの作品が並んで展示されていた。
ド・ラ・ペーニャは、荒々しいタッチで、いろいろな緑の色を使って、森の奥行きを、実に見事に描いている。
単に美しい、という感じの森ではなく、少し、怖さを感じる。森が隠し持っている、自然の野生を感じさせる。それが、ド・ラ・ペーニャの絵の魅力だ。
さて、メインテーマのミレー。
ミレーの描く自然の風景は、早くから、ボストンの裕福な市民たちに愛され、ボストン美術館は、世界でも屈指のミレーのコレクションを誇っているという。
この展覧会では、有名な、種をまく人、が展示された。
この種をまく人の絵もそうだが、ミレーの描く農民は、その表情がはっきりとは描かれていない。
ミレーは、バルビゾン村の農民には、個人としては全く興味を持たず、ほとんど交流しなかった、という話もあり、そのせいで、対象の個性をあわらす、細かい表情を描こうとは思わなかったのかもしれない。
あるいは、ミレーに好意的に解釈すれば、普遍的な存在としての農民を描くために、敢えて、細かい表情を描かなかった、とも考えられる。
いずれにしろ、ミレーという画家が、農村風景と農民、という新たな絵画のジャンルを確立した、ということは、間違いないのだろう。
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