2014年5月6日火曜日

ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション(Bunkamura ザ・ミュージアム)

ミラノの貴族、ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリによるコレクションを母体とする、ポルディ・ペッツォーリ美術館のイタリア美術を中心とした展覧会。

入口近くに、16世紀に作られた騎士用の甲冑、兜、盾などが展示されていたが、その精巧な表面の装飾に目を奪われた。

ヨーロッパの甲冑類は、日本では、あまり紹介されることがないので、直接目にすることが出来る、実に貴重な機会。

その後は、14世紀から16世紀にかけての、色鮮やかなテンペラ画の数々が続く。ダ・ヴィンチやラファエロとは少し違う、イタリアルネサンスの姿がそこにはあった。

ダ・ヴィンチやラファエロなどの作品は、それほど多く存在する訳ではない。むしろ、当時の人々は、今ではあまり有名でない画家たちの絵の方を、目にする機会が多かっただろう。

その意味で、そうした作品の方こそが、イタリアルネサンスの本当の姿と言えるかもしれない。

この展覧会の目玉である、ピエロ・デル・ポッライウォーロの貴婦人の肖像。ルネサンス絵画の特徴である、上半身を真横から描いた形式。金髪の髪の毛の一本一本まで、丹念に描いている。解説無用の美しい作品。

ボッティチェッリの、死せるキリストへの哀悼。十字架から降ろされたキリストを中心に、聖母マリアなどが悲しみに暮れている。その一人一人の悲しみの表情が、リアルに描かれている。

ボッティチェッリが、サボナローラの説教に影響され、敬虔なキリスト教徒になった後に描かれた作品。ビーナスの誕生とは違った、ボッティチェッリのもう一つの世界が、そこにはあった。

他にも、美しい挿絵が印象的な、1499年に出版された貴重な活版印刷の本。1750年に王族同士の結婚の記念に行われたオペラの舞台を、インクで描いたものなど、興味深い作品も展示されていた。

ヨーロッパの貴族のコレクションの、一つの形を、味わうことが出来た。

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