作家の平野啓一郎をゲストキュレーターとして招き、平野が国立西洋美術館のコレクションから、独自の視点でおよそ30点の作品を選び、テーマ別に展示した。
普段から、この美術館でよく目にしていた作品もあれば、初めて目にする作品もあった。
クノップフのドライポイントによる仮面という小品。幻想的な絵画のクノップフだが、女性の顔だけを描いている。やはり、どこか神秘的に感じる。
ルーカス・クラーナハ(父)とテニールスによる、聖アントニウスの誘惑。同時に開催されていたジャック・カロも描いたテーマ。
カロも含めた3人の作品を見比べると、作家のテーマを表現する完成やアプローチの違いが垣間見えて、面白い。
ムンクの、雪の中の労働者たち。叫びなどの作品のイメージとは、全く違ったテーマを描いた作品。ムンクは、1909年にノルウェーに戻ってからは、労働者をテーマにした作品を数多く描いていた。
ハンマースホイの、ピアノを弾く妻イーダのいる室内。室内の何気ない風景の中に、不思議な感覚を表現した、ハンマースホイ。日常の中にひっそりと隠れている、非日常への入口を予感させるような作品。
通常は、特別展の部屋として使われる1室を使っての、ミニ企画展。
おそらく、ジャック・カロの企画展が、版画でしかも無名の作家なので、集客のために、この企画が生まれたのだろう。
それよりも、この部屋を使って、ジャック・カロの作品をもって展示して欲しかった、と感じたのは、私だけだったのだろうか。
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