2014年5月31日土曜日

日本絵画の魅力(出光美術館)

出光美術館の収蔵作品により、日本絵画の魅力に迫る展覧会。

室町時代の北野天神縁起絵巻。いくつかのバージョンが知られている。展示されていた絵巻は、着物がはだけて胸があらわになった女性が、屋敷の中を駆け回っている、という不思議な場面を描いている。

描き方は、かなり稚拙。自分でもこれくらいは描けるのでは?と思ってしまう。現代のマンガに通じるものが感じられる。

鎌倉時代の阿弥陀聖衆来迎図。3枚の掛け軸で、真ん中には阿弥陀如来三尊、両側に、楽器を演奏する仏達が描かれている。

当時使われていた楽器なのだろうか?多くの楽器が描かれている。笛、太鼓、琵琶などが奏でる音楽は、いったいどんな音楽だったのだろうか?興味をそそられる作品。

鎌倉時代末期の十王地獄図。逆さ吊りにされたり、腕をきられたり、燃え盛る血の海に投げ込まれたりと、おぞましい地獄絵だが、十人の王が、画面の上部に机を前にして整然と並んでいる。

まるで、お役所仕事のように、人間を裁き、下に描かれているいろいろな地獄に人を送り込んでいる。

制度化された地獄、といったところだろうか。お役所的なやり方で、地獄に送られたりしたら、普通の地獄よりも、より怖いに違いない。

江戸時代の誰ガ袖屏風。衣装掛けに、色鮮やかな和服が掛けられている様子を描いた屏風絵。人物や風景は全く描かれていない。日本の静物画といったところか。実に、アバンギャルドな作品。

歌川豊国の丸窓美人図。女性の細い髪の毛の一本一本まで丹念に描いており、浮世絵師として知られる豊国の、絵師としての技術力の高さが際立っている。

中国の文化に影響された、浦上玉堂、田能村竹田らの、素朴な文人がの数々が、実にいい。そこには、文人達が思い描く、ユートピアの世界が描かれている。

人間の心の持っている、何かを想像するという、強力なパワーが、これほど強く表れている世界を、私は他に知らない。

酒井抱一の風神雷神図屏風と、八つ橋図屏風。前者は俵屋宗達の、後者は尾形光琳の作品をもとに、独自の観点も加えて描いたもの。

琳派の正統なる継承者であることのへ覚悟と、自分の絵師としての自負が、いずれの作品にもよく表れている。

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