2014年5月24日土曜日

法隆寺ー祈りとかたち(東京芸術大学美術館)


東京芸術大学美術館で行われた法隆寺展。

見所は、法隆寺金堂壁画の模写の展示。本会場では、鈴木空如による、阿弥陀浄土図などの4つの模写作品が展示された。

描かれた当時の姿に再現するのではなく、鈴木が描いた時のそのままの状態を模写した、いわゆる現状模写。その手法が、逆にこの模写をリアティ溢れたものにしている。

別会場では、法隆寺金堂の内部を再現した部屋が作られ、壁にはそれらの模写のコピーが実物大で展示されていた。

鈴木空如は、日清戦争に参戦し、悲惨な戦場を目の当たりにした後、東京芸術大学で絵を学び、その生涯で、3度も、この法隆寺金堂壁画の模写を行った。今日では、その名を知る人は限られている。

その生涯は、心の奥底に、深い深い印象を刻んだ。

法隆寺が作られた年は、いまだにわかってはいない。しかし、7世紀であったことは確かなようだ。

会場には、その7世紀に作られた、菩薩像などの仏像や、金堂の建物の一部だった天女や鳳凰、そして今の鮮やかな色合いを残す衣の布、などが展示されていた。

7世紀といえば、いわゆる大化の改新と同じ世紀。その時代に作られた物を目の前にすると、歴史とは何か、ということを考えずにはいられない。

その素朴な祈りのかたちの中に、まだ生まれたばかりの国家の、ういういしさのような物を感じた。

平安時代から鎌倉時代にかけて作られた、舞楽面。面の上に龍の彫刻を施した、精巧な作りの陵王の面。そして、二の舞で使われる腫れもののある面。その二つが印象的だった。

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