2014年5月11日日曜日
ちょっとパリまで、ずーっとパリで(泉屋博古館)
いつもは、ガラガラの六本木の泉屋博古館だが、さすがにゴールデンウィークとあって、珍しく、多くの人が訪れていた。
明治以降、ヨーロッパに渡り、絵を学んだ画家達の作品が、およそ60点展示された。
どうしても、有名な画家達の作品に目がいってしまう。
藤田嗣治の、暖炉ノ前ノ婦人像。文字通りの婦人像だが、婦人の前のテーブルには、3匹のネコが描かれ、婦人の背中にも、ネコが覗いている。
モデルとなっている婦人の性格を、ネコで表現したかったということが、どう見ても、この絵の主役は、婦人ではなく、どうだ、とでも言いたげな表情で、こちらを見つめるネコ達だ。
三岸節子の、花。花瓶に、赤い花と白い花が活けられている。ありがちなテーマだが、そこに描かれているものは、ただものではない。目の前にある花を、どのような目で見たら、このように描けるのだろうか。
もうひとつの三岸節子の作品、ニースへ行く道。息子がすでに暮らしていたフランスに、後からかけつけた際に訪れたニースの風景。道、というテーマだが、絵の中心には、黄色い建物が、でん、と描かれている。
三岸節子は、とにかく、抜けるような青い空に映える、その黄色い建物を描きたかったのだろう。
黒田清隆の、庭園。土色の背景に、何本かの草花が描かれている。洋画らしくなく、遠近感が感じられない。まるで、琳派のような作品。
浅井忠の2枚の水彩画。グレーの森、と、河畔洋館。うまいなあ、とにかくうまい。水彩画独特の、透明感溢れた、やさしいパステル調の色合いが、実に美しい。
梅原龍三郎の、霧島、と、浅間山。原色を使った、大胆なタッチが特徴の梅原だが、この2つの作品は、ややおとなしい。それが、逆に、この絵に新鮮な印象を与える。
佐伯祐三が珍しく魚を描いた作品、鯖。佐伯の独特のタッチはやや息をひそめ、対象の鯖を丹念に描いている。
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