東京、駒場の住宅地にひっそりと佇む、日本民藝館。
今回行われた展覧会は、九州の陶磁がテーマ。
いずれも、柳宗悦が収集したもので、17世紀から19世紀にかけての作品が多い。
九州の陶器と言えば、有田焼、唐津などの名前がすぐに思い浮かぶが、初めて名前を聞く地方の陶器も多く、楽しめた。
熊本の小代焼、鹿児島の龍門司焼、苗代川など、九州の焼き物の産地は、豊臣秀吉の朝鮮遠征で拉致された、朝鮮の陶工によって始められたものが多い。
そうした九州の陶器は、いずれも素朴な味わいをたたえていて、いかにも柳宗悦好みの作品ばかり。
2階の第3室では、大津絵を展示。江戸時代、大津の追分で作られたという素朴な土産絵。
初期の頃の作品は、素朴といえども、それなりに、複雑な絵を書こうという意図が見えるが、時代が下るにつれて、画風は様式的になり、筆使いはよりシンプルになっていく。
同じ2階の第4室では、人形と玩具のコレクションを展示。
鴻巣といえば、子供の頃、ひな人形の店舗が街道沿いに延々と並んでいたことを思い出す。
その鴻巣では、昔から人形が作られていた。展示されていたいくつかの鴻巣人形は、現代の絢爛豪華なひな人形とは、比べ物にならないほど、シンプルで素朴。
勿論、その素朴さが、それらの人形の最大の魅力だ。
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