2014年5月11日日曜日

魅惑のニッポン木版画(横浜美術館)


明治以降、現代までの日本の木版画の流れをたどる、横浜美術館で開催された展覧会。

会場を入ってすぐのところに展示されていた、明治時代の千代紙の数々。草花や色鮮やかな文様が、実に美しい。

いずれの作品も、作者の名前は残っていない。無名の美しさだ。

竹久夢二といえば、か弱い女性の美人画で知られるが、千代紙や絵封筒のデザインも行っていた。その色合いや、デザイン化された、いちょう、椿などは、どうしても、竹久夢二のイメージとは結びつかない。

棟方志功の華狩頌。3匹の馬に乗って、弓矢で動物を射るようなようなポーズをしているが、その手には、弓矢はない。その周囲には、鳥が飛び、花が散っている。

動物を狩っているのではなく、花を狩っている、というユニークな着想で作られた作品。近づいてよく見ると、彫刻刀の堀り跡がよくわかる。

この棟方志功の作品が、周囲に放っている強烈なエネルギーは、この展覧会でも、他のどの作品を、圧していた。

チャールズ・バートレット、ヘレン・ハイド、バーサ・ラム、エミール・オルリック、といった、浮世絵の技術を学ぶために、日本を訪れた版画家たちが制作した作品の数々。

いずれも、日本の風景や、和服姿の女性などを、細かい繊細な描写で、見事に表現している。

最後のコーナーには、3人の現代の木版画家の作品が展示されていた。

桐月沙樹は、版木の木目を活かして、ダンスを中心とした作品を展示。木目の不思議な曲線が、ダンスのリズムを連想させ、ユニークな作品に仕上がっている。

絵画とは、違った雰囲気をもった木版画の世界を、十二分に堪能できた。

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