2014年5月3日土曜日

燕子花図と藤花図(根津美術館)


東京の根津美術館で、毎年春に公開される尾形光琳の燕子花図屏風。今年は、円山応挙の藤花図屏風との共演。

円山応挙の藤花図屏風は、燕子花図屏風と同じ6曲1双。藤のツルは、ぼかし技法を使って描き、花と房の部分は、花びらやつぼみの一つ一つを丹念に描いている。

写生で知られる円山応挙だが、ここでは、メリハリを効かせて描いており、まるで琳派に敬意を表するようだ。

尾形光琳の燕子花図屏風では、増殖する燕子花に圧倒されるが、応挙の作品では、藤の花は、数えるほどしか描かれていない。しかも、藤の花びらは小さい。その対比が面白い。

琳派の一人、喜多川相説による四季草花図屏風。伊年の印があるが、喜多川相説の筆によると考えられている、草花図屏風。

相説が描く花は、決して華やかな美しさはないが、すこしくすんだその色が、逆に花ということをより意識させる。

まるで、ルドンが描く花のように、どこか、神秘的な印象を見る者に与える。

円山応挙の大作が展示されていた関係で、その弟子達の作品も、何点か展示された。

長沢蘆雪による、何とも微笑ましい、2枚の犬の絵。一枚は、親犬に甘える子犬、もう一枚は、子犬が木のたもとに描かれてている。

2階の展示室では、朝鮮の陶器を中心とした、秋山コレクションを展示。

部屋の中央に展示されていた、青花秋草文壷。白地に、シンプルな線画で、周囲に描かれた3つの秋草の青花が、実に美しい。

中国、南宋時代、龍泉窯の青磁の盃。小さい盃だが、その青磁の青が強烈な印象的。

そうした陶器の中に、ひとつだけ、良寛の書が展示されていた。天地、という字が、良寛の独特の筆使いで描かれていた。

何ものにも、全くとらわれていない、その良寛の書。そこに書かれいるのは、文字というより、良寛のその時の気分、とでもいうものかもしれない。

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