日本、中国、そして韓国の陶磁器の名品を集めた展覧会。
日本からは、東京国立博物館の収蔵品を中心に、縄文時代の火炎土器、弥生式土器に始まり、近世の瀬戸、信楽、美濃、そして江戸時代の尾形光琳、仁清、伊万里など。
日本の陶磁器の歴史を概観できる作品が展示され、見応えがあった。
中国からは、中国国家博物館の収蔵作品。
前漢時代の灰陶、唐時代の唐三彩、南北朝時代の青磁など。
青磁龍耳瓶という唐時代の青磁は、2匹の龍が瓶の口から顔を覗き込み、中の飲み物を飲もうとしている、というユニークな形状になっている。
しかし、展示品には、国宝にあたる1級文物はひとつもない。
また、宋時代の青磁や、明・清時代の景徳鎮など、中国の陶磁器を代表する作品はまったく展示されていない。
現在の日本と中国の政治関係を反映しているのでは?と勘ぐりたくなるような、やや不満の残る内容だった。
韓国からは、韓国国立中央博物館の収蔵作品が展示され、高麗時代の青磁、朝鮮王朝の白磁、青花など、韓国の陶磁器の流れを象徴する作品があり、楽しめた。
日本で青磁というと、シンプルな形状の皿や壺などが好まれる傾向にあるが、韓国の青磁は、その精巧な装飾が素晴らしい。
表面に竹の節目があしらわれている青磁や、亀の体に、龍の頭を持つとい不思議な動物の形をした青磁などは、当時の陶工たちの技術力の高さが伺える。
陶磁器という共通のフレームの中で、中国、韓国、日本のそれぞれの独自性が垣間見えた、興味深い内容の展覧会だった。
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