2014年11月23日日曜日
名画を切り、名器を継ぐ(根津美術館)
なんとも不思議な題名の展覧会。
後世にまで、名画、名器を伝えるために、あえて切り、あるいは継ないだ、という意味らしい。
継ぐ、という言葉には、つなぎ合わせる、という意味と、継承する、という二つの意味を被せている、という懲りよう。
例えば、日本で何点かの存在が確認されている、牧谿の瀟湘八景図は、もとはひとつの巻物に描かれていたが、その後、それぞれの風景で切られ、別々の掛け軸にされたらしい。
展示されていたのは2つの作品だが、残念ながら、それが同じ巻物から切られらたものかどうかは、不明だという。
切る、というと、まず古筆切が思い浮かぶ。
本願寺三十六人歌集がもとになっている石山切は、でもその色とりどりの美しい和紙で知られるが、意外にも切られたのは、昭和4年のことであった。
所有していた本願寺が、女子大学の建設の資金集めのために、苦肉の策として分割して販売した。
鳥獣戯画の断片、というのも展示されており、目を引いた。
京都国立博物館で開催された鳥獣戯画展は、休日は4時間待ちという大盛況だったが、こちらでは、断片ながら、ゆったりと、じっくりと鑑賞することができた。
カエルや猿といった動物たちや、背景の草の描きかたなどを見ると、確かに鳥獣戯画の一部だったことがわかる。
今日では、国宝としてうやうやしく取り扱われている鳥獣戯画という作品の、過酷な歴史の一面を垣間見た気がした。
南宋文化を代表する美しい青磁が、小さな鉄片で巧妙につなぎ合わされている。
茶器は、欠けてしまった部分に、別な色合いの断片をつなぎ合わせて、まったく新しい茶器に仕立てている。
作品そのものを味わうだけでなく、それが変えられた経緯などにも思いを馳せる、ユニークな内容の展覧会だった。
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