東京、代々木の新国立競技場のコンペを勝ち取った、話題の建築家、ザハ・ハディドの日本で初めてとなる本格的な展覧会。
会場は、大きく3つに分けられていた。
最初のコーナーは、札幌のレストラン、東京都内のビル、その他世界中のプロジェクトのためのドローイングやモックアップを展示。
建築家の展覧会では、通常は、個々のプロジェクトについて、説明のパネルが展示されているが、このザハの展覧会では、そうした説明は一切ない。
実にシンプルかつスタイリッシュな構成で、来場者は少し戸惑いを覚える。
次のコーナーは、壁を大スクリーンに見立てて、これまでに実現したザハの世界中のプロジェクを映像で紹介する。
この映像が、展覧会の展示内容の主要なコンテンツになっている。
会場には、個別なプロジェクトにフォーカスした展示はほとんどないので、そうした個々のプロジェクトについて知りたい人は、展覧会のガイドブックを購入する必要がある。
ザハ・ハディドは、イラクのバグダッドに生まれ、レム・コールハースの元で建築を学び、1983年に香港の”ザ・ピーク”のコンペに優勝して注目を浴びた。
しかし、そのプロジェクトが中止になり、しばらくはそのあまりに斬新な構想から、なかなか実際の建築が作られずに、アンビルドの女王というありがたくない称号を得ていた。
1993年にヴィトラ社消防所を竣工させてからは、まるで堰を切ったように、世界中に次々に、その独特なフォルムの建物を造り続けている。
ザハの建物は、その斬新な外観が、強烈なインパクトを見る者に与える。
流線型で曲線的なものもあれば、直線や立方体を活かしたものもあり、実にバラエティ豊かだが、いずれも、その建物の中にいる人の心を、自由に解放させていくような雰囲気を持っている。
最後のコーナーは、新国立競技場についての、イメージイラストや模型などが展示されている。
新国立競技場については、当初は実に斬新なフォルムの案が示され、それがコンペを勝ち抜いたが、その後予算不足となり、現在のプランは、ザハらしくない、実につまらないものになってしまった。
それまで映像で見ていた、数々の先進的なプロジェクトに比べ、その新国立競技場のデザインのおとなしさは、展覧会の最後の展示としたは、尻切れトンボのように感じてしまった。
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