ムーミンを生み出した、トーベ・ヤンソンの生涯をたどる、横浜のそごう美術館での展覧会。
今年、故郷のフィンランドで開催された、生誕100年を記念する回顧展の日本版とあって、ムーミンに関連する展示だけでなく、その他の絵画作品も紹介する、興味深い内容だった。
それにしても、未だ、日本のおけるムーミンの人気は絶大のようだ。
会場には、家族連れやカップルなど、実に多くの人が、文字通り、あふれかえっていた。
そうした人ごみの間を縫うように、その隙間から、作品を鑑賞した。
トーベ・ヤンソンは、1914年にスウェーデン語系フィンランド人の家族に生まれ、幼い頃から、絵をよく描いていた。
風刺雑誌の挿絵画家としてデビューしたのは、わずか15才の時だった。
若い頃に描いた、肖像画家、シュールレアリズムに影響を受けた幻想的な作品などを見ると、直接的には、ユーミンと結びつく要素は、あまり感じられない。
その後、ムーミンシリーズを手がけるようになり、人気を博すようになると、トーベ・ヤンソンは、”ユーミン”のトーベ・ヤンソンとなった。
本人は、それでも自分を”ユーミンの”トーベ・ヤンソンでなく、画家として認めてもらいたかったようだ。
その頃に描いた作品は、具象的とも抽象的とのつかない、不思議な雰囲気を持った作品が多い。
挿絵の方では、ユーミンだけでなく、不思議の国のアリスや、トルーキンのホビットの冒険なども手掛けている。
そうした作品を見ると、トーベ・ヤンソンは、挿絵のようなイラストの作品の方が、その才能をよく発揮しているように思えた。
展示会場を出ると、特設の関連グッズ売り場が設けられており、展示内容の図録はもとより、ムーミンシリーズの絵本、ムーミンのぬいぐるみ、フィンランド関連の製品などが売られており、その広さは、展示会場より広いのではないか?と錯覚するほどだった。
展示会にかこつけて、そうした商品を買って欲しいという、横浜そごうの商売っ気が炸裂している感じで、おもわず苦笑してしまう。
主催者側にとっては、おそらくは、トーベ・ヤンソンは、アーティストというよりは、客寄せのパンダのようなものなのかもしれない。
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