空海にゆかりの高野山の名品を展示する展覧会。
空海の伝説的な生涯が、色鮮やかな絵巻物に描かれた、鎌倉時代の高野大使行状図絵。
展示されていたのは、空海の遣唐使船が難破してから、唐の都の長安に向かうまでの場面。
遣唐使の正使が地方長官に書いた文章が、まったく相手にされなかったのに比べ、空海が書いた文章を見た長官の態度が一変する、という場面が描かれている。
正使の書いた文章は、地面に捨てられ、空海の文章は、長官がうやうやしく掲げている。
まるで、現代のマンガのような描き方には、おもわず笑みがこぼれてしまう。
運慶が掘り上げた、八大童子像。国宝。不動明王の周囲を取り巻く、8体の子供の姿をした諸天たち。
子供のあどけなさと、仏の守り手としての威厳、凛々しさを、その複雑な表情の中に彫り込んでいる。
運慶という仏師の凄さが、八大童子の表情からだけでも、十分に感じ取れる。
快慶の四天王立像。東大寺の四天王立像のための試作と考えられる作品で、やや小ぶりの作品だが、その怒りの表情は真に迫っている。
四天王立像を見る楽しみの一つは、その四天王の足元に踏みつけられている、仏にさからう怪物たちを観察すること。
この快慶の四天王立像でも、その怪物たちは、哀れな表情をうかべ、四天王の重みに耐えていて、なんだか、気の毒に感じてしまった。
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