2014年11月16日日曜日

京へのいざない(京都国立博物館)

京都国立博物館に、平成知新館がオープンしたことを記念して開催された展覧会。

その平成知新館の建物は、奇をてらわず、オーソドックスな落ち着いた感じの建物だ。



この平成知新館の建てられた場所は、かつては、豊臣秀吉が建てた、方広寺の大仏殿の南門があった辺りだった。

建物のエントランスの前には、そうしたことを説明したパネルが展示されている。


石作りの建物の本体には、ガラス張りの通路が張り出している。

ちょうど、日本の住宅の庭を望む縁側のように作られており、そこから、京都国立博物館の敷地を臨むことができる。


池のようにたたえられた水が、水平線を形成していて、実に美しい。


さて、展覧会の方は、1期と2期に分けられて、京都国立博物館の収蔵品と、京都周辺の美術館や寺社などからの日本美術の名品が展示され、見ごたえのある内容だった。

1階の大きなスペースには、大小さまざまな仏像が展示されている。

西住寺の宝誌和尚立像。和尚の顔が割れた、中から別の顔が覗いている、というビジュアル的なインパクトが強烈な作品。

一度、この作品を目にしたら、二度と忘れられなくなるだろう。

2階の展示室は、特別展示室と、日本や中国の絵画を展示している。

雪舟の天橋立図。国宝。雪舟を代表する作品だが、よくみると折り目がついており、この絵は、もっと大きな作品を仕上げるための下絵だった。

下絵でさえ国宝になってしまうのが、雪舟という画家の凄さだろう。

退蔵院の如拙筆による瓢鯰図。国宝。

瓢箪から鯰が出て、その鯰が水の中を泳いでいる、という不思議な作品。人物の顔の描き方も独特で、判じ絵のように、その本当の意図を色々と詮索したくなってしまう。

京都市が所有する、舞踏図屏風。金箔が貼られた屏風に、色鮮やかな着物をまとった女性たちが、扇子を手に、踊りを踊っている。

表情でなく、来ている着物や、踊りのポーズによって、一人一人の女性たちの個性が、描き出されている。

3階は、土器などの考古学の展示品と、京焼を展示。

京焼のコーナーには、野々村仁清、奥田頴川、青木木米などの、京焼を代表する、色鮮やかな作品が展示され、この京都国立博物館ならではの雰囲気をよく醸し出していた。




会場を出る頃は、すでに日が暮れていた。ライトアップされた平成知新館は、とても美しかった。


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