2014年11月2日日曜日
御法に守られし醍醐寺(松濤美術館)
リニューアル後に、次々と魅力的な展覧会を企画している、渋谷の松濤美術館。
今回は、醍醐寺、という渋い内容。
醍醐寺は、平安時代に創建された、密教系の寺。
空海直筆の大日経開題。空海が、大日経について解説している。空海といえば、三筆の一人だが、この書では、書自体よりも、その内容に注力しているようで、書き方は、それほど達筆、という印象は受けない。
それはそれで、興味深い内容だった。
今回の展示の目玉は、国宝の現在過去絵因果経。15メートルにもおよぶ全編が、すべて展示されていた。
平安時代に、釈迦の前世、現世での行いを描いた、日本で最古となる絵巻物。
上部に絵が描かれ、下に文章が描かれている、一般の絵巻物とが少し異なった構成になっている。
絵は、現在の視点から見ると、やや稚拙で、自分にも描けそうな気がしてくる。
絵巻のハイライトは、ひたすら修行を続ける釈迦に対して、多くの魔物が邪魔をする、いわゆる降魔の場面。
魔物が、実に可愛らしく、ゆるキャラのように描かれていて、おもわず笑みがこぼれてしまう。
こんなにかわいらしい魔物に修行を邪魔されたとしても、釈迦は、痛くも痒くもなかったに違いない。
醍醐寺は、豊臣秀吉の大茶会でも有名。
その秀吉の関白としての書状に加えて、織田信長、徳川家康の書状も展示されていた。
この3人の書状を一度に目にする機会は、それほど多くないだろう。
書状の内容によるのかもしれないが、家康の書が、一番上手な感じ。信長は、実に字画の構成がしっかりとした文字を書く。
秀吉は、ねねなどに宛てた、ひらがなの走り書きのような書の印象が強いが、ここでは、漢字を中心とした公式文書。
ある意味では、秀吉らしくない書だった。
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