2014年11月16日日曜日

ロイヤル・アカデミー展(富士美術館)


八王子から、直行のバスで10分ほど行ったところ、創価大学のキャンパスのすぐ隣に、富士美術館がある。

都心から遠いので、どうしても、行く機会が限られてしまう。この前訪れたのは、もう何年も前のことだった。

今回は、イギリス芸術の殿堂、ロイヤル・アカデミーに関する展覧会だと聞いて、重い腰を上げた。

展示会場の入り口では、カルリーニによるジョージ3世の胸像が、来場者を出迎えている。

ロイヤル・アカデミーは、1768年に国王ジョージ3世によって、芸術家の保護育成を図るために設立された。

ジョージ3世の時代は、アメリカの独立、ナポレオン戦争など、ヨーロッパの激動の時代だった。

初代会長は、ジョシュア・レノルズ。そのレノルズのセオリーという女性を描いた作品が展示されていた。レノルズは、ラファエロのような古典的な作品を愛し、多くの肖像画を描いた。

1783年に描かれた、トマス・ゲインズバラの”羊のいるロマンティックな春の風景”という作品。渓谷の雄大な風景の中に、羊と羊飼いが小さく描かれている。

1800年に描かれた、ターナーの”ドルバダーン城”という作品。ウェールズにある古城を描いている。

この絵を描いていた頃のターナーは、アカデミーの会員になるために活動中で、そのかいあってか、1802年に正式に会員となっている。

若い頃のターナーの作品は、オーソドックスな描き方で、晩年の何を描いているかわからないような作品ではない。

1826年に描かれた、ジョン・コンスタブルの”水門を通る舟”という作品。自分の故郷であるサフォーク州の農村風景を描いている。

1868年に描かれた、ラファエロ前派のジョン・エバレット・ミレイによる”ベラスケスの思い出”。

ミレイが、スペインの巨匠、ベラスケスのマルガリータ王女の肖像を写した作品。ベラスケスの作品よりも、このミレイの王女の方が、よっぽど可愛らしく描かれている。

ミレイは、ロイヤル・アカデミーの美術学校で絵を学んでいたが、やがて、その伝統的な絵画技法に反発を感じ、ロセッティらとラファエロ前派を結成する。

ラファエロ前派という名前は、ロイヤル・アカデミーの初代会長、ジョシュア・レノルズがラファエロに心酔していたために、それ以前の絵画に戻ろう、ということを意味している。

1910年に描かれた、ジョン・シンガー・サージェントの”庭の女性たち、トッレ・ガッリ”という作品。

アメリカ生まれのサージェントが、イタリア、フィレンツェの庭園とそこに佇む女性たちを描いている。サージェントは、1897年に、アカデミーの正会員になっている。

ロイヤル・アカデミーの歴史は、そのまま大英帝国の歴史とも重なる。濃厚な、数々のイギリスの名画を鑑賞しながら、その歴史にも、想いを馳せることができた。

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