2014年11月23日日曜日

東山御物の美 足利将軍家の至宝(三井記念美術館)


足利幕府の8代将軍、足利義政の東山御殿にちなむ、足利将軍家のコレクション、いわゆる東山御物を展示する興味深い展覧会。

展示されたのは、水墨画、肖像画、茶器、漆器など。

東山御殿という名前から、それらは足利義政が収集したと考えてしまうが、実際は、3代将軍の義満、6代将軍の義政のコレクションが中心で、足利義政はそれを整理した、というのが正しいようだ。

展覧会は、前期と後期に分かれ、半分くらいの展示品が、入れ替えられていた。

室町時代に描かれた足利義満の肖像画。僧形で、馴染みのある義満の顔がそこにはある。

丸顔で、目はたれており、いかにも人好きな感じがにじみ出ている。実際にそのような顔をしていたかはわからないが、人々は、義満にそのようなイメージを抱いていたに違いない。

義満は、積極的に明と交流し、取引を行うことで富を得て、それを権力基盤にしようとした。

一方、6代将軍の義政の肖像画には、細顏で、神経質そうな人物が描かれている。

義政は、すでに権力を失いつつあった足利家に栄光を取り戻そうと強権を発動するが、それが裏目に出て、赤松氏によって猿楽の観劇中に殺害されてしまった。

東山御殿といえば、まずは南宋時代の茶器が浮かぶ。天目茶碗、青磁などの名品が数多く展示されていた。

茶の文化は、やがて千利休によって大成され、日本文化の中核を占めるようになっていく。

そして、徽宗、馬遠、梁楷、牧谿らの、中国の水墨画の数々。

同じ年に開かれた、故宮博物院展に比べても、レベル的に劣ることのない作品が並び、足利将軍たちの、貪欲な美術収集がうかがえる。

雪舟や、狩野正信に始まる狩野一族は、そうした水墨画の技法を学び、精巧な中国の画家たちとは違った、日本独自の絵画世界を作り上げていく。

室町時代に生まれた美術の様式は、その後の日本の美術様式の主流となり、今日まで続いている。

この展覧会では、そうした源流を、文字通り、目の当たりにすることができた。

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