2014年8月3日日曜日

楽園としての芸術展(東京都美術館)


ダウン症候群などの障害のある人々のアートを展示した、東京都美術館の特別展。

最初のコーナーでは、鹿児島県のしょうぶ学園の人々の作品を展示。

しょうぶ学園では、従来は、大島紬や竹細工の下請けを行っていたが、学園長の英断により、一人一人の個性を活かした、独自の作品作りを行うことを決断した。

色鮮やかな糸を組み合わせた作品は、独特の感性を感じさせる。

下川智美の作品は、色鮮やかな糸くずを、ガラス瓶につめたもの。

糸くず、と書いたが、下川に取っては、それは、くずではないのだろう。その一つ一つが、文字通りの作品の一部になっている。

三重県の伊勢志摩という風光明媚なところにある、アトリエ・エレマン・プレザンの作品は、絵画作品が多い。

展示会場には、色鮮やかな作品が並ぶ。

明らかに電車を描いたと思われる、具象的な作品もあるが、ほとんどは、基本的には色を組み合わせた絵が多い。

単に色を組み合わせただけでなく、その配色には、時々、ドキッとさせられる、素晴らしい感覚を感じさせるものがある。

冬木陽の、あか、という作品は、まさにそうした作品。作品名は赤だが、水色、黄色、紫などの色も使われている。(上の写真の作品)

余白の白と、そうした色の配置、バランスが、何とも言えずに、美しい。

会場では、アトリエ・エレマン・プレザンの画家たちが、絵を描く様子を撮影した映像が流されていた。

デッサンをせずに、直接、色鮮やかな絵の具で、キャンバスに描いて行く。

書き直しはほとんどない。躊躇することなく、淡々と描いて行く。頭の中にすでに作品があるというよりは、思いつくままに、描いているようだ。

そこには、絵を描くということ自体の、原点のようなものが、現れているように見える。

この展覧会の名前は、楽園としての芸術、というものだったが、その展示会場は、文字通り、楽園のようだった。

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