2014年8月16日土曜日
涼風献上(根津美術館)
表参道にある、根津美術館を訪れた日は、日中の気温が33度を超える、それは暑い日だった。
その根津美術館で行われていた展覧会の名前は、涼風献上。
涼しげな風、ミストのような水しぶきが上がる滝など、熱さを忘れさせる水墨画や、同様な絵柄の陶器が、展示されていた。
長沢蘆雪の赤壁図屏風。6曲1双の大きな作品。左側に、船に乗り込む前の人物が描かれ、右側には、船に乗った人々が、名所の赤壁を前に、くつろいでいる。
蘆雪は、この題材を描くにあたって、現在は故宮博物院に収蔵されている、武元直の赤壁図を参考にしたのだろう。
武元直の赤壁は、そこに近づく者を威圧するように、垂直にそそり立っている。武元直は、実に細かい筆使いで、その雄大な景色を表現している。
蘆雪の赤壁は、周囲に猛烈な風が吹き荒れており、赤壁の岸壁も、風にうねっているようだ。
風に吹き飛ばされそうな木々の表現も独特で、枝の部分を、漢字の”目”を横にしたように描いている。実に、現代的な表現。
この蘆雪の赤壁を堪能しただけで、十分に暑さを忘れることができた。
1階の小さな展示室には、高麗・朝鮮時代、14〜16世紀に描かれた仏画が10点ほど展示されていた。
普段は、あまり目にする機会がない高麗・朝鮮の仏画は、実に興味深かった。
阿弥陀三尊、地蔵菩薩などは、日本の鎌倉時代の頃の作品と、よく似ている。
その一方で、法華経の経典の冒頭に描かれた金糸の仏画は、日本の同じような作品よりも、明らかに、金をふんだんに使っており、画面いっぱいが、キンキラキンだった。
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