2014年8月16日土曜日
生誕120年記念 濱田庄司展(日本民藝館)
柳宗悦、河井寛次郎と、3人で”民藝”という思想を作り上げた、陶芸家の濱田庄司。
ゆかりの日本民藝館で、生誕120年を記念した特別展が開催された。
日本民藝館の、純和風の日本家屋の、2階への階段の踊り場の所に、その濱田庄司の手になる、大きな皿が置かれていた。
薄茶色の地の上に、書の筆で描いたように、黒い上ぐすりで、無造作のように、格子のような模様が描かれている。
その素朴な味わいが何とも言えず、じっと見つめれば見つめるほど、どんどんその大皿の中に、引き込まれていく。
2階の奥にある、大展示室には、赤絵、鉄砂、地掛、白掛などの濱田の作品が、部屋いっぱいに展示されていた。
一見すると、素朴で、誰にでも作れそうに見えるが、よくよく眺めていると、その不思議な魅力に、心が次第に洗われていくのがわかる。
何と自由で、豊かなのだろう。
こんな器や皿を使い、毎日の暮らしを営んでいれば、その暮らしは、どんな幸福なものになるのだろうか。
濱田は、世界中の様々な地域の民藝品を収集していた。2階の第3・4室には、日本はもとより、オーストラリアのアボリジニの木板絵、ペルーの土器の人形、スペインの色鮮やかな薬入れ、イギリスのスリップウェアなどなど。
濱田は、そうしたもの一つ一つから、インスピレーションを得ていたという。
濱田の作品と合わせて、会場の所々には、棟方志功の書が展示されていた。
よほど大きな筆を使って描いたのだろう。いずれも、2文字で”華厳”などの大きな文字が、筆の勢いで飛び散った墨の海の中に、浮かび上がっている。
2階の第2室には、濱田とゆかりのある、バーナード・リーチと河井寛次郎の作品が。
濱田は、イギリスに渡り、リーチの元で陶芸を学び、陶芸家への道を歩み始めた。また、関東大震災の後、一時、京都の河井のもとに世話になっていた。
リーチの作品は、ヨーロッパのスリップウェアの伝統に基づいているものが多い。河井の作品は、濱田の作品に比べると、色合いが華やかで、より洗練されているように見える。
他にも、沖縄の紅型と陶器、台湾の工芸品なども展示され、充実した内容の展覧会だった。
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