2014年1月12日日曜日

楽茶碗と新春の「雪松図」(三井記念美術館)


東京、日本橋の三井記念美術館。新年恒例の展覧会。毎年、新年は円山応挙の雪松図を展示する。

それは、展示室4の一番奥に、うやうやしく展示されていた。国宝。しかし、写真で何度も見ているせいか、新鮮な驚きはない。

下地の白と、金泥と炭の黒。その3色だけで、この大きな2本の松を描いている。どう見ても、あとから、雪の白を描いているように見える。さすが、応挙。技術はもとより、画家としてのセンスを感じさせる。

そのすぐ右手に、同じく応挙の稲麻綿図。こちらも、墨の線だけを使って、稲、麻、綿をシンプルに描いている。

松は、古来より、神がおりてくる木として、特別に扱われてきた。江戸時代には、おめでたい物として考えられていたのだろう。

左手には、江戸狩野派による、寿老人、七福神などのおめでたい絵の数々。19世紀の狩野栄信の四季山水図は、本来の山水画としての神秘性は失われ、ただただ、自然に中における、人間の営みが、ユーモラスに描かれている。

代々の長次郎による、楽茶碗の数々。初代長次郎から、現代の15代まで、これだけの楽茶碗は並ぶと壮観だ。しかし、そのほとんどは、真っ黒な器。よほど詳しくないと、その違いを見分けることさえ難しい。

しかし、初代長次郎の作品で、千利休が俊寛と名付けた黒楽茶碗は、少し大振りで、上薬の黒が一段と黒い。これは、さすがに、他の黒楽茶碗とは違い、凄まじいばかりの存在感を感じる。

初代長次郎に関連する展示として、桃山時代の16世紀に描かれた、聚楽第図屏風。初代長次郎が活躍していたのと、同じ時代に描かれた屏風絵。金箔の雲にも、細かい凹凸で雲の様子が表現されている。

近寄ってよく見ると、城の中で、弁当のようなものを広げて、ランチを取っているような、そんな人々の姿まで、細かく描かれていた。

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