東京都写真美術館の今年のコレクション展。テーマは、スピリチュアル・ワールド。宗教や精神性をテーマにした作品を展示。
あまりにも有名な土門拳の「古寺巡礼」シリーズ。何点かの、仏像のアップの写真を展示。
お寺の中では、奥の方に、大事そうに鎮座している仏像の巨大なアップは、それだけで、インパクト、存在感がある。
しかし、その一方で、あまりにもデフォルメされたその写真は、本物の仏像がもっているとは、違うものを映しているようにも感じた。
内藤正敏の「婆バクハツ!」という、青森の恐山のイタコなどを撮影している。イタコも含めた、中高年の女性達のパワーが、狭いフレームの中で、爆発している。
その存在感は強烈すぎるが、人間の、本質的な姿を、写し出しているようだ。
藤原新也の「全東洋写真・インド」からの、何枚かの写真。ガンジス川のほとりで、死体を焼く場面や、死者の足を、犬が噛み付いている、ショッキングなシーンが、撮影されている。
それは、写真というものが持っている、力の本質を、よく表している。
入口を入った場所に、1枚だけ展示されていた、鈴木理策の「海と山のあいだ」という作品集からの1枚。
森の向こう、丸いシルエットの中に、海がのぞいている、という写真。
別に、何か特別なものが写っているわけではないが、何かの存在が感じられる。
この展覧会のテーマを象徴するような、印象的な作品だった。
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