2014年6月14日土曜日

オランダ・ハーグ派展(損保ジャパン東郷青児美術館)


19世紀後半、オランダのハーグに活動の拠点を置いた画家達がいた。

ハーグ派の画家達は、フランスのバルビゾン派の影響を受けていた。最初の部屋には、そのバルビゾン派画家達の絵が展示されていた。コロー、テオドール・ルソー、ミレーなど。

ヨンキントは、オランダに生まれたが、フランスでバルビゾン派画家達とともに作品を描いた。バルビゾン派とハーグ派をつなぐ画家。

これまで、あまり注目することのなかった画家だったが、この日は、そのヨンキントの3つの作品をまじまじと見入ってしまった。デルフトの眺め、という小さな作品は、フェルメールの作品から受ける印象とは、少し違ったこの町の印象を与える。

クールベの、ルー川源流にかかる橋の水車小屋。クールベは、バルビゾン派ではないが、自然そのものの荒々しさ姿を描くその絵画は、ハーグ派にも影響を与えた。

続いて、ハーグ派の作品が、農村や海辺の風景画、農民の姿、室内画などのコーナーにわけて展示される。

ヴァイセンブルフは、オランダのみならず、19世紀を代表する風景画家。オランダの大平原と、その上に広がる、白い雲と青い空。まさに、誰もが思い浮かべるような、オランダの風景が、そのキャンバスの中に広がっている。

マリス3兄弟は、それぞれが独自の絵画世界を作り出し、ハーグ派の世界を多彩なものにしている。

ヨーゼフ・イスラエルスは、人物画の作品が多い。縫い物をする若い女、という作品は、第2のレンブラントと言われる、その繊細な表現が印象的。

漁師を描いた他の作品では、レンブラントというよりは、ミレーの描く人物像を連想させ、そうした人々に対する、暖かい視線が、作品の中に表現されている。

最後のコーナーでは、ゴッホとモンドリアンの作品が並んでいた。二人とも、ハーグ派の影響を強く受けている。

ゴッホの作品は、初期の農夫を描いた地味な作品が多く、一般的に抱かれているイメージとは違ったゴッホの姿がそこにはある。

モンドリアンの、夕暮れの風車、という作品は、風景画だが、池に写る木々を表している線が、すでに後期の抽象的な表現を、色濃く暗示している。この展覧会の中でも、最も印象深く、心に残った作品だった。

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