サントリー美術館で開催された、徒然草にまつわる文献、絵画を集めた展覧会。
入口には、松花堂昭乗、海北友雪、そして尾形乾山が、徒然草の作者、兼好法師を、それぞれ描いた掛け軸が飾ってある。
一見すると、全く違う人物像で、同じ人物を描いているとは思えない。それぞれの絵師が、徒然草という書物の内容から、自分なりに想像した、あるいは周囲から期待された、兼好法師像を描いている。
この展覧会には、2つの国宝が展示された。一つは、14世紀、宝積経という経典の裏に、和歌を書いたもの。兼好法師の和歌が、2つ書かれている。
もうひとつの国宝は、法然上人絵伝。14世紀に描かれたとは思えないほど、鮮やか。展示されていたのは、法然上人の前に、阿弥陀如来が現れるという、劇的なシーン。
この展覧会の目玉は、海北友雪による、徒然草絵巻の全巻展示。会場の半分近くのスペースを使っての展示。
他にも、徒然草の中に文章で描かれた内容を、美しい絵に仕立てた、多くの絵が展示されていたが、244段全ての内容を絵にしたのは、この海北友雪による徒然草絵巻だけだという。
徒然草の中には、短い段、あるいは絵にするのが難しい段もあるが、海北友雪は、それら全てを、独立した絵画作品として、全て描ききっている。海北友雪の絵の職人としての、卓越したセンスをよく表している。
最後のコーナーは、その海北友雪の、徒然草とは関係ない、様々な作品を展示。
海北友雪は、建仁寺の屏風絵などで有名な、海北友松の子。屏風絵、絵巻、仏画、水墨画など、多くのジャンルの作品が展示され、その多彩な画芸が伺える。
海北家は、その後、京都を中心に、代々絵師として、幕末まで活躍し続けたという。
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