2014年4月5日土曜日

ズビネック・セカール展(ギャラリーTOM)



東京、渋谷の奥座敷、松濤の鍋島松濤公園のすぐ目に前に、特徴的な外観のギャラリーTOMがある。

そこで、チェコ生まれの彫刻家、ズビネック・セカールの展覧会が開催された。

つい先日、このセカールの作品を、鎌倉の神奈川県立近代美術館で見て、このギャラリーTOMでも作品が展示されていることを知った。

神奈川県立近代美術館で展示されていた作品のほとんどは、このギャラリーTOMの収蔵品だった。

コンクリート打ちっぱなしの室内に、雑然とセカールの作品が並べられている。その感じが何ともいい。

ほとんどがブロンズの彫刻作品。

構造体、ノミ、あるいは無題など、シンプルな題名の作品が多いが、中には、ケンタウロスと貴婦人、という物語性が豊かな作品もある。

ケンタウロスと貴婦人の姿が、セカール独特の、シンプルで素朴な形状で表現されている。

コズミック・ホラーの作家として有名な、ラヴクラフトの肖像、という作品も目を引いた。

その肖像は、誰の名前がついていても、私には同じようにしか見えない。しかし、セカールは、その形の中に、確実に、ラヴクラフトの姿を見ていたのだろう。

鎌倉では気がつかなかったが、今回、セカールの作品を見ているうちに、パウル・クレーのことを思い出した。

この2人の作家には、共通する何かを強く感じる。それは、言葉にすれば、自由、とでもいったことだろうか。

どちらの作家も、私の心の中に、強く何事かを訴えかける。

小さなギャラリーなので、20分ほどで、すべての作品を見終わってしまった。しかし、その深い印象は、永遠に近い、と言ってもいいかもしれない。

(参考)特別展示 ズビネック・セカール(神奈川県近代美術館鎌倉別館)

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