2014年4月27日日曜日

大江戸と洛中(江戸東京博物館)

東京、両国の国技館のすぐ横にある、江戸東京博物館。開館20周年を記念して、大江戸と洛中、という企画展が開催された。アジアの中の都市景観、という副題が付けられている。

洛中、いわゆる京都は、当時の唐の都、長安をモデルに作られた。

会場には、明と清の都だった北京、その他の都市、そして朝鮮の京城などの全図が展示されていた。京都は、明らかにそうした中国の文化に影響されたアジアの都市だった。

しかし、江戸は、そうした中国モデルとは少し異なっている。

碁盤の目のように整然とした中国の都市モデルに対して、江戸は、江戸城を中心に、まるで渦を巻くように、曲線状の構造を持っている。

江戸は、中国のような城壁を持たず、京都の南大門のような明確な境界も無かったために、時代とともに、徐々に外部に拡大していった。

洛中洛外図は、おそらく、中国の清明上河図を元に作られたのだろう。しかし、清明上河図では、栄華を極めた、北宋の都、汴京の様子が、郊外から町の中心部まで、切れ目無く、克明に描かれている。

日本の洛中洛外図は、所々に、都合の良い雲がたくさん浮かんでおり、二条城、清水寺、四条大橋など、いわゆる都市のハイライトとなる部分しか描かれていない。

洛中洛外図の描き方を使って、多くの江戸の絵も描かれた。そこでも、江戸城、浅草の浅草寺など、江戸を代表する箇所しか描かれていない。

都市の全体図を見ると、京都と江戸は、全く違った構造をしているが、そうした絵の中では、同じような都市に見えてしまう。

日本人は、都市の構造についてはあまり関心を持たず、都市の中にある、代表的な建物や施設の固まりとして、都市を見ていたのだろう。

会場には、そうした都市の全図、洛中洛外図などの他に、中国や朝鮮からもたらされた大蔵経、徳川秀忠の書状、芝の増上寺、上野の寛永寺に関する資料、武士の鎧など、江戸時代を彷彿とさせる品々が展示されていた。

全体的に、展覧会としては、まとまりに欠けていてように感じられ、開館20周年記念の企画としては、ややお粗末な内容だった。

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