2014年3月15日土曜日

特別展示 ズビネック・セカール(神奈川県近代美術館鎌倉別館)


鎌倉の鶴岡八幡宮の西側の参道近くにある、神奈川県近代美術館鎌倉別館。そこで、同館が収蔵する、チェコの彫刻家、ズビネック・セカールの作品が何点か、特別展示として展示された。

ズビネック・セカールについては、以前に、この美術館で、アニマル、という作品によって、強烈な印象を受けたことがあった。

その作品は、三本足の奇妙な生き物が表現されている。顔に当たる部分は、線のようなものが、クシャクシャ、となっており、アニマルというより、昆虫のようにみえる。

いずれにしろ、その形、イメージは、一度見たら、脳裏に焼き付く。

セカールは、1923年にプラハで生まれ、第2次世界大戦中は、ナチスによって強制収容所に送られていた。

戦後は、出版社に勤め、カフカの作品をチェコ語に翻訳したこともあった。1960年代以降は彫刻の製作に没頭し、1966年以降はウィーンに暮らしていた。1998年にそのウィーンで没した。

会場には、およそ30点ほどの作品が展示されていた。ほとんどはブロンズの彫刻作品で、人の顔、動物や鳥などの生き物、建物のようなものなど、多彩。

セカールの作品を見ていると、その形状は、固定的な概念に捕われず、作家の自由な発想にあふれているように感じる。

しかも、形は実にシンプルで、シンボリックな印象が強い。

強制収容所で過ごしたという経験を持っているが、作品には、そうした経験は、直接的には影響していないように見える。

可動構造という名のブロンズ作品は、様々な形状の短い棒が組み合わされていて、細長い木のように、あるいは建物のように見える。

トーテムポールのようにも見えるし、いわゆる世界樹のようにも見える。

この作品に限らず、セカールの作品は、世界に向かって大きく開かれている。誰も拒まず受け入れ、誰が、どのように作品を解釈しても、おかまいなしだ。

ズビネック・セカールという名前は、この展覧会によって、私の心に深く刻まれることになった。

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