2014年3月16日日曜日
光のある場所 コレクションにみる近現代美術の現実感(神奈川県立近代美術館 鎌倉館)
鎌倉、鶴岡八幡宮へ向かう長い石畳の参道を歩いていると、左手にいつもこの美術館の看板が見えてくる。
日本を代表する、歴史的な神社の境内に、近代美術の美術館があるというミスマッチが、実にいい。
そこで開催された、同館のコレクション作品による、日本の近現代絵画の展覧会。明治以降の、日本の洋画の歴史が概観できる、興味深い内容の展覧会だった。
高橋由一の江の島図、五姓田義松のクリュニー美術館にて、松岡壽の静物、といった明治初期の作品を見ると、ヨーロッパの絵画技法を理解し、それをどのように吸収し、自分たちの世界をどのように描いたらいいか、格闘している彼らの姿が思い浮かぶ。
萬鉄五郎が、1910年に描いた風景は、伝統的な風景画だが、1918年に描かれた裸婦では、全く画風は変わり、いわゆる萬鉄五郎風の画風になっている。
藤島武二の台南風景は、当時日本の植民地だった台湾の風景を描いた作品。何気ない風景だが、南国の暖かい、開放的な風景を捉えようとする藤島、そして、当時の時代の状況などがうかがえる。
内田巌のトランプという作品は、家族がテーブルを囲んでトランプをしているが、決して明るいという感じの絵ではなく、色合いや、家族の表情から、そこはかとない不安が読みと得れる。この絵が描かれたのは、1934年、昭和9年だった。
他にも、黒田清輝の逗子風景、小出猶重の静物画、岸田劉生の風景画、佐伯祐三の珍しい自画像、色鮮やかな梅原龍三郎の熱海野島別荘、松本竣介の建物、など、日本の近代洋画の巨匠たちの作品が展示されていた。
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