昨年、改装されて、大々的にリニューアル・オープンされた東京駅。その中にあった東京ステーションギャラリーも、従来の場所から移動して、再オープンした。
リニューアル・オープンの、駅をテーマにした展覧会も訪れた。リニューアルしてから、ここを訪れるのは、これで3回目だろうか。
今回の展覧会は、ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在、という副題がついている。
イギリスと言えば、少し以前に、上野の東京都美術館でターナー展が開催され、この展覧会と期を同じくして、森アーツセンターギャラリーではラファエル前派展を、三菱一号館美術館では、19世紀の耽美主義の展覧会が開催されている。
この東京ステーションギャラリーで開催されたのは、テーマが現代アートで、上記の3つの展覧会とは、少し違った内容になっていた。
ブリティッシュ・カウンシルは、いわゆる建物としての美術館や展示施設を有していない。コレクションは、特製のクレート(木箱)という容器に入れられ保管され、展覧会が開催される地まで運ばれる。
その全ては、コレクションのWebサイトで閲覧することが出来る。その総数は、9,000点もあるという。
東京で開催されたこの展覧会では、その中から、30人のアーティストによる、絵画、映像作品、オブジェなど、様々な種類の作品が展示されていた。
エド・ホールのBritish Council Collection Banner、という作品は、Museum Without Wallsというカウンシルのコンセプトが刺繍された、色鮮やかなタピストリー。
ハルーン・ミルザのTaka Tak、というオブジェ。パキスタンを訪れた時の映像と、その音をレコード盤で再現したオブジェで構成されている。そのいい意味での稚拙さは、まるで、大学の学園祭を見ているような気分になる。
どの作品も、何と言うか、実に身近な感じ。決して、大きなストーリーを語っているのではなく、自分の周りにあること、日常的なことを、そのまま、等身大の作品にしている。
美術館を訪れている、という独特の緊張感や高揚は、全く感じない。
まるで、それぞれのアーティストの家を、友人として訪れている、というイメージだろうか。それが、実に心地よい。
アーティスト達の経歴を見ると、イギリスの権威あるターナー賞の受賞者達もあり、いずれも一流の現代アーティスト達だ。
そうした、ターナー、ロセッティなどの後継者たちの作品から、文字通り、英国美術の現在の姿を伺うことができる。
ブリティッシュ・カウンシルの日本語のホームページは、この展覧会の専用のページが設けられており、参加している全てのアーティストを紹介する個別のページがある。
その各ページでは、今回実際に展示されたほとんどの作品が、写真で紹介されている。会場では、ガイドブックも販売されていたが、このページを見れば、それを買う必要もないだろう。
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