2014年9月21日日曜日
建築家ピエール・シャローとガラスの家(パナソニック汐留ミュージアム)
1920〜1930年代、いわゆるアール・デコの時代に活躍した、フランスの建築家、ピエール・シャローについての、国内初となる展覧会。
ピエール・シャローは、1883年、フランスのボルドーのワインを扱う商家の家に生まれた。そのせいか、後年のシャローの名刺は、ワインのエチケットのようなデザインだった。
シャローは、建築家になることを夢見ていたが、建築の大学には入れず、まずは、家具などのインテリアのデザイナーとしてそのキャリアをスタートさせた。
裕福な家庭向けに、高い材料を使い、シンプルでモダンな、一点ものの家具を数多く手がけ、徐々にその名前を知られるようになった。
ピカソやブラックなどの、当時の時代の先端を行くアーティストたちの作品を数多く購入したが、中でも、ジャック・リプシッツという彫刻家が特に気に入っていたようだ。
リプシッツの、横たわる裸婦、という作品は、一見すると、ソファー、あるいは何かの動物のように見え、どこかユーモラスな印象を与える。
シャローは、次第に、家の設計を行うようにもなり、今もパリに残るガラスの家という作品が、彼の代表的な作品となっている。
その家は、黒い金属の格子の中に、曇りガラスがはめ込まれており、ガラスの家という言葉からすぎに想像される、いわゆるガラス張りで、中が丸見え、という感じではない。
部屋の中に入ると、ガラスから入り込む外の光のせいで、部屋の中は、明るく開放的な雰囲気に包まれている。
ようやく長年の夢である建築家として活躍し始めたシャローだが、1930年代以降、ヨーロッパに不況が訪れると、アメリカに渡り、二度とヨーロッパに戻ることはなかった。
アメリカでは、いくつかの住宅などを設計したが、残念ながら、そうした活躍は、あまり知られていないという。
ピエール・シャローは、アール・デコとともに現れ、その終わりとともに、静かに退場していった、そんな建築家だった。
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