2014年9月6日土曜日

水の音 広重から千住博まで(山種美術館)

今年の夏も暑かった。

その暑い夏をいくらかでも涼んでもらおうという意図であろう、山種美術館のコレクションを中心にした、水をテーマにした日本の絵画の展覧会。

この展覧会では、千住博の、ウォーターフォール、という作品が心に残った。

文字通り、滝を描いた作品。背景の黒に、流れ落ちる滝が描かれているだけの絵。

滝の部分は、筆で直接描いているのではなく、スプレーのようなもので描かれているようだ。

その描き方が実にリアルで、いつまでも絵の前にいても、不思議と時間がたつのを感じさせない。目の前で流れ落ちている、本当の滝の前にいるように錯覚させる。

千住の作品は、他にも何点かあったが、そちらの方には、それほどの印象は感じられなかった。とにかく、この作品の存在感は、他の名だたる画家たちの作品を圧倒していた。

横山大観が、中国を訪れた時の記憶をもとに描いた楚水の巻。大観の独特の墨の表現を使って、のんびりとした水辺の風景が描かれている。

鳴門、という同じ題名による、奥村土牛と川端龍子の作品。奥村土牛は、ひとつの渦を中心に、海の水を薄緑を使って描いている。

川端龍子は、それとは対照的に、多くの渦のかたまりを、2双の屏風に描き、海の色は真っ青に、渦の波は真っ白と、鮮やかな色のコントラストを効かせている。

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