2014年7月20日日曜日
江戸妖怪大図鑑 第1部(浮世絵太田記念美術館)
東京、原宿のど真ん中、ソフトバンクの裏側にひっそりと佇む、浮世絵太田記念美術館。
毎年、夏になると、お化けや妖怪の浮世絵をテーマにして特別展が開かれる。
今年は、江戸妖怪大図鑑と題し、7月から9月までを、1ヶ月ごとの3部に分けて、化け物、幽霊、妖術使い、をテーマにして実施された。
まずは、第1部の化け物編へ。
会場に入ってまず驚かされたのは、その混雑振り。休日で、しかも場所が原宿ということもあり、チケットを求める長い列ができていた。
女性の姿が多い。親子や友達通しで、おどろおどろしい化け物の浮世絵の前で、女性らしい、直感的な感想をひそひそ声でもらしている。外国人の姿もところどころ見受けられる。
作品の中で、最も存在感があったのは、やはり国芳だった。
椿説弓張月の中の有名なシーン。海を渡っている際に嵐に遭い、死を覚悟した八幡太郎為朝を、崇徳院の使いである、天狗たちが救いにくる、というシーン。
荒れて大きな波が立っている海原で、巨大な魚が画面を覆っており、崇徳院に使わされた何人かの天狗が、荒波から為朝を救い出そうとしている。
他にも、無数の妖怪たちを描いたものや、化け猫、土蜘蛛など、グロテスクだが、どこかユーモラスな化け物たちの姿は、国芳の世界が炸裂、といったところ。
浮世絵の祖と言われる、見返り美人で有名な菱川師宣も、意外にも多くの化け物の浮世絵を残していた。
羅生門の鬼を描いた師宣の構図は、門の上から渡邊綱に襲いかかるという構図。
師宣に続いた、鳥居清倍、勝川春章、そして歌川国芳、月岡芳年らも、基本的にはその構図を継承し、それに独自の表現を付け加えている。
北斎に関係する、葛飾派の絵師が描いた、百々眼鬼という絵には、文字通り、体中に眼が付いている、不思議な化け物が描かれている。
一度見たら忘れられないような、強烈な印象を残すそのイメージ。北斎からの何らかの影響があったのではないか、と思わず勘ぐってしまう。
会場を後にする時にも、ちょうど見学に訪れた多くの人とすれ違った。まるで、江戸時代の賑わいを目にするようだった。
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