2014年7月26日土曜日
ルドルフ・シュタイナー展 天使の国(ワタリウム)
ワタリウムの企画展のことを知り、始めは、シュタイナーをテーマに、どんな内容の展覧会なのか、想像がつかなかった。
内容は、シュタイナーが自らの講演で描いた黒板絵と、彼が設計した、ゲーテアヌムという建物、についてだった。
シュタイナーは、その生涯を通じておよそ5,000回もにわたる講演を行った。そのうちの何回かの講演では、生徒が黒板に黒い紙を貼り、シュタイナーがその紙の上に絵を描いた。
今日、およそ1,000枚ほどの黒板絵が残されている。
シュタイナーの死後、その存在は忘れられていたが、ヨゼフ・ボイスがそれらに注目し、その後、その存在が世間に広まっていった。
ボイスとシュタイナー、実にクールな組み合わせだ。
シュタイナーの黒板絵は、決して”上手”ではないが、見る者を自然と引きつける。
まず、その色使いが素晴らしい。白いチョークが基本だが、赤、青、黄、緑、ピンクなどが、美しいバランスで使われている。
そこには、人間と宇宙の関係、自然の神秘、経済と社会に付いて、文化や芸術など、様々なテーマが描かれている。
シュタイナーという人物の思想の壮大さが、素朴な黒板絵の中から、自然とにじみ出ている。
もうひとつは、シュタイナーが設計したゲーテアヌムという劇場についての展示。
1920年にスイスのドルナッハに完成した第1次ゲーテアヌムは、その直後に火災で焼失。1928年に、現在まで残る第2次ゲータアヌムが完成した。
第1次ゲーテアヌムについては、当時の写真が展示され、第2次ゲーテアヌムについては、この展覧会に合わせて撮影された映像が流されていた。
その建築は、一見すると、ガウディの建築のようにも見え、当時のいわばトレンドだった、アールヌーボー様式を踏まえている。
そのゲーテアヌムの内部のステンドグラス用に描いた、シュタイナーのデッサンも展示されていた。
人物の描き方は、ルドンの描く人物のように見える。こちらも黒板絵同様、素朴な趣き。
シュタイナーの思想は、現在の日本でも、文庫本でその主要な著作が読めるほど普及している。
その建築スタイルも、現在に至るまで継承され、世界中にあるシュタイナー教育を実践している学校の建築として、採用されている。
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