生田の森に囲まれて、その奥にひっそりと佇む、岡本太郎美術館。
坂道をゆっくり上り、奥まった森を抜けて、階段をさらに上がったとろに、その美術館はある。
自然に囲まれて、都会の生活から徐々に解放されていくような、この美術館へのアプローチは、実に素晴らしい。
展示されていた作品の中で、一番目を引かれたのは、アプストクラシオン・クレアシオン(抽象・創造)に加入した作家たちの版画集。
1973年の時点で存命中だった作家のうち、30人の作品を復刻して、版画集として出版したもの。
アプストクラシオン・クレアシオンとは、岡本太郎がパリに滞在していた時期、1932年〜1936年まで加入していた芸術家団体。
アルプ、カルダー、カンディンスキー、モホイ=ナジ、モンドリアン、などの名前が並ぶ。
勿論、我らが岡本太郎の作品もある。
団体の基本的な方針である、”抽象的”な作品が多いので、どうしても、シンプルな直線や図形を中心にした作品が多い。
その中でも、それぞれが、独自の個性を発揮していて、それを見比べながら、楽しい時間を過ごすことが出来た。
岡本太郎がパリ時代に描き、1937年に画集として出版された作品は、すべて第2次世界大戦の空襲により失われてしまった。
それらの作品を、当時の写真などをもとに再現したコーナーも興味深かった。
いくつかの作品は、岡本太郎本人が、戦後に再作成したという。
ブルトンに評価されたと言われている、有名な”痛ましき腕”、という作品も、オリジナルは1936年に作品されたが、現在残っている作品は、1949年に再作成されたもの。
その他では、ダリの版画作品で、10点から構成される、黄色い恋、という作品が面白かった。
白地に、黒と金の2色で、男性や女性の性器、骸骨などのイメージが、ダリらしくスキャンダラスに表現されている。
0 件のコメント:
コメントを投稿