2014年7月21日月曜日
ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展(世田谷美術館)
豊富な日本美術品のコレクションで知られるボストン美術館の収蔵品による、ジャポニズムをテーマにした展覧会。
展覧会の目玉は、モネのラ・ジャポネーズ。つい最近、修復を終えてばかりだという。
ジャポニズム、というテーマでは、かならずといっていいほど、紹介される作品で、画集やテレビで、何度となく目にしてきた作品。
実物は、意外にも、縦2.3メートル、横1.4メートル、という巨大な作品で、特別ルームの一番奥に、うやうやしく展示されている。
赤い色が鮮やかで、武士の姿が見事に刺繍された和服をまとう、モネの妻、カミーユ。その手には、扇子が開かれており、後ろの壁には、浮世絵などをあしらった、数々の団扇が並べられている。
文字通り、日本趣味に彩られた、華麗な作品。でも見方を変えれば、ちょっと節操がないというか、悪趣味とも言える。
モネ自身も、後年は、この作品について、あまり良い評価はしていなかったという。
明治初期の日本から、ヨーロッパに伝えられた浮世絵の構図は、当時のパリで活躍していた画家たちに大きな影響を与えた。ロートレック、ゴッホ、ベルナール、ドニ、ルノワールらの作品が、その参考になったと思われる、浮世絵と並べて展示されている。
そうして並べて展示されると、その影響は歴然。ほとんどパクリというか、モノマネといわれても、言い訳のしようがないほど。
中には、ムンクやマチスなど、あまりジャポニズムという言葉と結びつかない、意外な作家の作品もある。
ムンクの絵の中に登場する、湖沿いの木々が並んだ風景。マチスの平面的なカラフルな絵画。それらは、明らかに浮世絵の影響があるという。
会場の最後には、モネの睡蓮が展示されていた。近づいていよく見ると、ただ単に絵具の固まりが置かれているようにしか見えない。
少し離れてその絵を見ると、紛れも無い、モネの睡蓮が表れる。それは、まるで、魔法のようでさえある。
そうした境地にたどり着いた、晩年のモネからすれば、若き日に描いた、ラ・ジャポネーズという作品は、価値のない作品に思えたのかもしれない。
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