2014年7月21日月曜日

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展(東京国立近代美術館)


台湾のヤゲオ財団コレクションの現代アートの作品を展示した企画展。

ヤゲオ財団とは、台湾の電子製品の会社を経営するピエール・チェン氏の経営する財団で、実質は氏の個人コレクション。チェン氏は、世界でのトップ10にランクされるコレクター。

そういえば、このところ、個人のコレクターの作品を展示する企画展をよく目にするが、これは、そうした中でも、最も豪華なものと言えるだろう。

展示会場の入口に置かれていた作品リストには、ユニークなゲームがおまけでついていた。

そのゲームとは、展示作品の中の指定された20の作品の中から、50億円を超えないように、5点までを選択する、というもの。

このゲームに象徴されるように、この企画展では、現代アート作品の価格についても、各作家の相場を紹介している。

アンディ・ウォーホール、フランシス・ベーコン、マーク・ロスコ、という何十億円以上、という落札価格を誇る作家たちの作品が並ぶ。

展示作品の中に、最近、興味があった作家の作品が何点か見れたので、大満足だった。

ゲルハルト・リヒター。その作風を代表する、古ぼけた写真のように描かれた絵画3点と、抽象絵画というシリーズの、大きな色鮮やかな作品が3点。

ザオ・ウーキーは、私にとっては、ブリヂストン美術館の青色の作品が、記憶の中にクッキリと刻み込まれているが、この展覧会では、青ではない、黒、うす黄色、緑などの、別な色をもった3点の作品のウーキーがいた。

チェン氏は、そうした作品を、自宅にそのまま飾っているという。自宅の室内の作品もいくつか展示されていた。

この展覧会のちらしにも使われた、インパクトのあるマーク・クインの作品。モデルのケート・モスが、ヨガのハードコアをエキセサイズしている。高さ30㎝ほどの作品が2点。すべて18金でできている。

トップモデル、ヨガ、そしてゴールド。いずれも、現代社会に置けるマネーを象徴する素材を使っているのがミソ。

美術館の入口には、さすがに18金ではないが、その巨大なバージョンが展示されている。そのインパクトの大きさは強烈。作品には、何の説明もいらない。

台湾のコレクターということもあり、中国や台湾の作家の作品も多い。サンユウという、素朴な画風の中国の四川省出身の作家は、すでに亡くなっているが、現在ではおよそ8億円で落札されるという。

ちなみに、ほぼ同時代の藤田嗣治は、1億円ほどだと言う。

高価な、世界屈指のコレクションからの現代アートの作品たちは、見る者に、アートとその価値と価格の関係を、考えさせる。

これまでに見てきた、様々な展覧会の中でも、とりわけ印象深い、心に残る内容の展覧会だった。

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