2014年10月13日月曜日
種村季弘の眼 迷宮の美術家たち(板橋区立美術館)
いやはや、とんでもない展覧会を見てしまった。
それは、グスタフ・ルネ・ホッケ『迷宮としての世界』などの訳者として知られる、ドイツ文学者の種村季弘をテーマにした、板橋区立美術館での企画展だった。
種村は、そのホッケの著作で紹介されているマニエリスムの作品をはじめ、グロテスクで変わった系統の芸術作品に傾倒していた。
会場には、種村本人のコレクションを中心に、国内の美術館や個人の所有する作品が展示されていた。
中には、マックス・エルンスト、パウル・クレー、赤瀬川原平、四谷シモンなどの比較的名前が知られたアーティストの作品も見受けられたが、ほとんどの作品は、あまり知られていない、知る人ぞ知る、といった作家の作品が多かった。
エドワード・リア、ホルスト・ヤンセン、カール・コーラップ、ハンス・ベルメール、中村宏、などなど。
いずれの作品も、学校の教科書には載せられないような、ナンセンスで、スキャンダラスで、不思議な作品ばかり。
小さな箱の中に、部屋が作られており、来場者は、小さな覗き穴から、その部屋を、文字通り覗き込む。桑原弘明の作品。
井上洋介の作品では、太った男が、自分の足をのこぎりで切り、その足をむしゃむしゃと食べている。しかし、その画風はユーモラス。
ダ・ヴィンチのモナリザをパロディ化した、エルンスト・フックスの女性の肖像画。
作品のほとんどは、現代作家の作品だが、そうした作品には、過去の巨人たちの系譜が隠されている。
ヒエロニムス・ボス、ブリューゲル、ギュスターブ・モロー、ルドン、ゴヤ、そして日本にも、鳥獣戯画、曾我蕭白などなど。
時代が移り変わっても、一部のアーティストたちは、こうした不思議な世界を、これからも生み出し続けていくだろう。
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