原宿の浮世絵太田記念美術館での、江戸妖怪大図鑑の第3部は妖術使い編。
ほとんどの作品は、歌舞伎の出し物を、浮世絵師が描いたもの。妖術使いは、当時の売れっ子役者が扮している妖術使いとなっている。
妖術使いいとえ言えば、ガマにまたがり、巻物を加えているイメージをすぐに思い浮かべるが、これは天竺徳兵衛のこと。
ガマの上に乗った徳兵衛、背後に大きなガマを従えた徳兵衛、大勢のガマを率いて敵と対した徳兵衛など、実に様々なバリエーションがある。
描いている絵師も、葛飾北斎、歌川豊国、歌川国芳など、有名な名前が揃っている。
この天竺徳兵衛は、物語上の人物だが、実はモデルがいた。江戸時代の漁師で、漂流した後にタイに流れ着き、その後帰国した。タイは、当時の日本では天竺と考えられていたことから、物語の中では、天竺徳兵衛と呼ばれたという。
歌川国芳の、相馬の古内裏、という浮世絵は、巨大な骸骨が描かれていることで有名だが、この骸骨は、女性の妖術使いである龍夜叉姫が、大谷太郎光国を威すために出現させたもの。
この龍夜叉姫が描かれた浮世絵も多い。歌舞伎の女形役者の演じる、主要な役柄だったのだろう。
他にも、キリシタン大名だった大友宗麟の末裔とされ、浮世絵の中では、大きな毒蜘蛛を扱う若菜姫を描いた浮世絵も。
大きな蜘蛛の巣を使って、手向かう人間を次々と搦め捕っていく若菜姫。歌舞伎の舞台の上に作られた、大掛かりなセットが、浮世絵の中では、デフォルメされて描かれている。
絵師たちは、自分で舞台を見て、あるいは人づてに聞いたりして、その舞台の様子から、自らの想像力を膨らませて、こうした浮世絵を描いたのだろう。
さて、これでおよそ3ヶ月にわたって開催された展覧会、江戸妖怪大図鑑も終わりを迎えた。
江戸妖怪大図鑑 第1部(浮世絵太田記念美術館)
江戸妖怪大図鑑 第2部(浮世絵太田記念美術館)
3回とも、休日とあって、表参道にある浮世絵太田記念美術館には、若い女性を中心に多くの人が訪れており、また外国人観光客の姿も多く見え、相変わらず、根強い浮世絵人気を実感した。
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