昨年も、いろいろな展覧会を訪れた。
印象に残った展覧会や作品を振り返っていこう。
やっぱり、昨年の一番は、鳥獣戯画。800年ほど前の作品だが、現在見ても、全く古さを感じさせないそのイメージは、目の前にすると、まさに圧巻だった。今年、上野にやってくるが、また見に行きたい。
国宝 鳥獣戯画と高山寺(京都国立博物館)
六本木ヒルズで行われたラファエル前派の展覧会は、テート博物館が閉館していたこともあってだろうが、名作が目白押しだった。ジョン・エヴァレット・ミレイのオフィーリア、ロセッティのベアタ・ベアトリクスなど。至福の時間だった。
ラファエル前派展(森アーツセンターギャラリー)
森美術館で開催されたウォーホル展も見応えがあった。あまりにも面白かったので、2度も行ってしまったほど。ウォーホルは、その作品というより、その美術史における存在が、実に興味深かった。
アンディ・ウォーホル展 永遠の15分(森美術館)
新国立美術館で開催された、大阪の国立民族博物館のコレクションを展示した展覧会。無名の人々が、芸術作品としてではなく、生活の一部として作り上げた作品のパワーに、ただただ圧倒された。
イメージの力(新国立美術館)
室町時代の足利将軍家のコレクション、いわゆる東山御物についての2つの展覧会。日本の美意識の原点とも言える、そのコレクションは、まさにわびさびの世界だった。
東山御物の美 足利将軍家の至宝(三井記念美術館)
名画を切り、名器を継ぐ(根津美術館)
恵比寿の東京写真美術館で開催された、フィオナ・タンの展覧会。そこでの、”ディスオリエント”という映像作品は、見応えがあった。ちなみに、Perfumeの新曲、Cling ClingのPVは、この”ディスオリエント”をなかりパクっている。
フィオナ・タン まなざしの詩学
とにかく、不思議なあぶない作品が多数展示された、板橋区立美術館の種村季弘のコレクション展は、”子供には見せられない”といった感じの内容だった。
種村季弘の眼 迷宮の美術家たち(板橋区立美術館)
森美術館で開催された、いわゆる参加型の展覧会。リー・ミンウェイと会場にいっしょに宿泊したり、会場で食事をしたというユニークな内容で、人と人のつながりの可能性を感じさせる、ユニークな展覧会だった。
リー・ミンウェイとその関係展(森美術館)
2013年に横浜美術館で開催された横山大観展に続いて、同じ横浜美術館で、下村観山展が、そして東京近代美術館では、菱田春草展が開催された。
これで、あしかけ2年をかけて、岡倉天心の日本美術院を支えた3巨頭の作品を目にすることができ、それぞれが、心に残る展覧会だった。
生誕140年記念 下村観山展(横浜美術館)
菱田春草展(国立近代美術館)
これまでにあまりよく知らなかった画家などを知る機会も楽しいものだ。
北斎の娘で、珍しい江戸時代の女性絵師、葛飾応為の作品は、素晴らしかった。葛飾応為は、かつての新藤兼人の北斎漫画という映画で、田中裕子が演じていたなあ。
葛飾応為 吉原格子之先図 光と影の美(太田記念美術館)
20世紀のチェコ生まれのズビネック・セカールの2つの展覧会は、強烈な印象を心に刻んだ。昨年で、最も印象に残った展覧会といっていいかも。
特別展示 ズビネック・セカール(神奈川県近代美術館鎌倉別館)
ズビネック・セカール展(ギャラリーTOM)
再興された日本美術院の100周年を記念する、大規模な展覧会。そこで、あまたの巨匠の名画より、私が感動したのは、岩橋英遠の道産子追憶之巻という、全長30メートルほどの大作。
作者の故郷、北海道の四季の風景が、切れ目ない巻物風の絵に描かれていて、自然の美しさ、作者の故郷への深い愛情などが感じられ、とにかく感動の一言。
世紀の日本画(東京都美術館)
個人的な思い入れということでは、外苑前のワタリウムで行われたシュタイナー展は、単純に楽しめた。シュタイナーが黒板に書いた不思議なイメージの展示だったが、その独特な世界観を堪能できた、至福の時間を味わえた。
ルドルフ・シュタイナー展 天使の国(ワタリウム)
2011年に葉山で行われたベン・シャーンの回顧展を行きそびれ、未だに後悔していたが、その一部を、鎌倉で行われた展覧会で見ることができて、少しはその後悔を取り戻せた。版画を中心とした、小規模な内容ながら、充実していて、楽しめた。
ベン・シャーンとジョルジュ・ルオー(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)
他にも、上げていくと切りがないけど、このへんで終わりとしよう。
さて、今年も面白そうな展覧会が、多数予定されている。どんな作品に出会えるか、今から楽しみだ。
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